ここでは構造・機能および整備について記載していきたいと思います。
今回は、「規格」に関するところです。
規格の中でもメインはやっぱり「変流器」!まずはここからやっていきたいと思います。
乙7といえば、「漏電火災警報器」であり確実に勉強しておくべきですが、その基礎として漏電の検知方法、変流器、受信機の構造を知っておくべきです。私なりにかみ砕いてまとめていきたいと思います。当然、問題もくわえながら。
ちなみに漏電火災警報器は、漏洩電流に反応して知らせる装置のことです。
電圧は600V以下です。
漏電火災警報器の構造は、こちらを読んでください。
では、はじめていきます。(何回の記事になるのかな~??)
変流器の構造
変流器とは、大電流のまま装置内に電流を入れると危険なので、大きな電流を入力(一次側)すると巻数比に応じで出力側(二次側)に電流が発生します。構造としては、リング状の鉄の心にコイルを巻きつける。これが2次側!1次側にはリングの中心に電線を通した構造となっています。その目的のほとんどが電流計測のための変換です。
また、種類としては「屋内型」と「屋外型」があります。実用上の分け方はすこし違っていて、「貫通型:分割不可」と「分割型:ニ分割で工事が楽、追加設置可能」があります。
(出展:wikipedia)
ちなみに変圧器は、1次側の電流の変化によって2次側に電圧(誘導起電力)を発生させます。
実際に1次側、2次側と呼んでいますが、1次側が入力側で1次コイルと呼ばれたりしています。出力側を2次側であり、2次コイルと呼ばれたりします。
では、この変流器と漏電火災報知器の使い方ですが、変流器を使って漏電を検知します。
漏電の検知方法は、リング状の中心孔に2本の電線をいれることで、回路に行きと帰り(往復)ができます。回路が正常だと流れる電流は同じなので、磁束は反発方向であり同じ大きさなので電圧は発生しません。ところが漏電、つまり回路が異常だと電流に大小ができるので、磁束が生まれてします。そのため電圧が発生します。その電気信号に受信機が反応することで漏電を検知します。こういった変流器のことを零相変流器といいます。
用語
零相変流器(ZCT)とは、地絡事故、それは電流が地面に逃げて本来通らないといけない経路を通らないことで人が感電するような事故のことをいいます。その本来通ってはいけない電流を検出する装置です。特徴として、3相の電線を一つにして変流器に通すことで、いずれかの線で地絡が発生すると3相のバランスが崩れてベクトル和が0にならなくります。その地絡が発生した線から2次側へ電流出力される方法を利用しています。2次側には地絡継電器を接続し、地絡時にはこの継電器が作動して、遮断機が反応することで故障部分を電気回路から切り離すことができます。零相変流器は継電器・遮断機とともに漏電遮断機に内蔵されており、その中で事故検知の役割を果たしています。
出展:株式会社Wave Energy)
実際の零相変流器(ZCT)は次のようなものです。(出展:光商工株式会社)
実際のついている画像は次のようなものです。(出展:株式会社アシスト)
実際の問題はこちらです。漏洩火災警報器の基本的な問題です。しっかり覚えておきたいところです。(最後に試験が出たものに変更できればとは思っています。まだ、先になると思いますが。。。)
問題1
漏電火災警報器の用語の説明として、次の文の( )内に当てはまる語句の組み合わせとして、規格省令上、正しいものはどれ?
「電圧(A)の警戒電路(B)を検出し、防火対象物の関係者に報知する設備であって、(C)および受信機で構成されたものをいう。」
- A.600V未満、B.漏洩電流、C.変流器
- A.600V未満、B.漏洩電圧、C.変圧器
- A.600V以下、B.漏洩電流、C.変流器
- A.600V以下、B.漏洩電圧、C.変圧器
解答1と解説1
解答は、「3」です。
内容は上にかいていますが、改めて漏電火災警報器の定義をかくと、「電圧600V以下の警戒電路の漏洩電流を検出し、防火対象物の関係者に報知する設備であって、変流器および受信機で構成されたものをいう」です。
ちなみに「漏電遮断機」とは違います。漏電遮断機は、地絡事故による【感電防止】を防ぐために設置されます。機能も「遮断」ができるのが大きい。
と、いうことは漏電火災警報器は、「報知」のみです。
変流器の機能
変流器の機能というより、色々条件をここでは記載しています。
- 出力電圧特性に範囲があります。
- 試験電流を0~1000mA変えたとき、電流に比例して出力電圧が変化します。
- 変流器に接続される受信機の公証作動電流を試験電流として流した時、出力電圧の範囲を75%~125%の間に入れること。
- 変流器に接続される受信機の公証作動電流を42%にすれば、出力電圧は52%以下にしなくてはいけない。
- 電路開閉試験を負荷を接続した状態で行う場合、
- 警戒電路に変流器の定格電流150%の電流を流して、1分間に5回開閉した場合、出力電圧は52%以下にする必要がある。
- 短絡電流強度試験を負荷接続して、警戒電路の電源側に過電流遮断機を設けた場合、
- 短絡力率が0.3~0.4までの2500Aの電流を2分間隔で0.02秒間を2回流したとき、構造・機能に異常を生じてはいかないような構造にする必要がある。
- 過電流試験の合格基準としては、1つの電線を変流器に通して、定格電圧の20%における電流値を5分間流したときに異常な行動を起こさないようにしないといけない。
- 老化試験の合格としては、環境温度65℃の中で30日間放置したときに構造・機能に異常を生じてはいかない。
- 防水試験の基準としては、65℃の清水と0℃の塩化ナトリウム飽和水溶液にそれぞれ15分間浸す行動を2回実施して、構造・機能に異常を生じてはいかない。
- 電圧降下防止試験の基準としては、警戒電路に定格電流を流した時、電圧降下は0.5V以下でないといけない。
- 変流器の定格電流としては、警戒電路の負荷電流の総和として最大負荷電流値以上とする必要があります。また、B種接地線に設ける変流器の定格電流値は、警戒電路における定格電圧の20%の数値以上の電流値にする必要があります。
問題2
警戒電路に試験電流を0mAから( A )mA流した場合、出力電圧値は試験電流値( B )すること。変流器に接続される受信機の公称作動電流値を試験電流として流したときに、その出力電圧値の変動範囲は、設計出力電圧値の( C )の範囲内であること。
- A:500B:反比例C:75~130%
- A:750B:比例C:70~125%
- A:1000B:比例C:75~125%
- A:1000B:反比例C:70~130%
解答2と解説2
回答としては、「3」となります。
試験電路は0~1000mAの範囲となり、その範囲で比例して出力電圧も変化します。また、受信機の公称作動電流値を試験電流として流したとき、設計出力電圧値の75~125%の範囲に収めることが必要です。
変流器の設置場所
変流器の設置は3つ状態が考えられます。
1つ目が、屋外設置です。基本はこれです。
屋外設置の場合
2つ目が、屋内設置です。屋外が困難な場合にやってもよいです。
屋内設置の場合
3つ目が、B種接地線に変流器を取付ける形です。
B種接地線に設置の場合
いずれも変流器は、点検が容易な場所に取付が必要です。
また、変流器は引込開閉器の後に設置はできません。開閉器で生じた漏電が検出できなくなります。
また、変流器の設置は次のことに注意が必要です。
- 電路設置状態で、2次側開放がダメ。
- 2次側にかなり大きな電圧が誘起されて危ないからです。
- 金属管等へ変流器をつけるとき、図の位置にD種接地工事をしてはいない。この場所だと、D種接地線に流れた漏洩電流が、再び変流器に入るので、漏電を検出できなくなります。
- 受信機より後にD種接地工事を行う必要があります。
- 金属管以外のところに変流器を付け直します。
D種接地工事の誤った方法
- 変流器中央の貫通孔にもD種接地線を挿入できません。
- D種接地線をつける場所で正しいのはココです。
D種接地工事の正しい方法
変流器の表示事項
変流器のみに表示する項目は次の通りです。
- 漏電火災警報器変流器という文字
- 「屋外型/屋内型」の文字
- 定格電圧と定格電流
- 「単相/三相」の文字
- 設計出力電圧
- 極性のある端子は、極性を示す
1の「漏電火災警報器変流器という文字」や、6の「極性のある端子は、極性を示す」は出ているみたいだね!!
ただ、圧倒的にでているのは共通の表示項目についてだよ!!
次の記事にのっているから、絶対見てね!!
まとめ
- 漏電火災警報器
- 電圧600V以下の警戒電路の漏洩電流を検出し、防火対象物の関係者に報知する設備であって、変流器および受信機で構成されたものをいう。
- 変流器
- 入力側の電流を巻数比に応じで出力側の調整して電流を発生させるもので、漏電を検知できる。
零相変流器と呼ばれる。
変流器ともう一つ重要な受信機の構造・機能および整備の方法を解説していますので、ぜひ見てください。