- 最近ヒット商品が生まれない。。
- お客様の声(VOC)に耳を傾けても売れる商品ができたとは思えない。。。
- もっと売れる商品が作れる企画の方法を教えて!
ひと昔前は「ユーザーの声に答えられれば、商品が売れる」時代だったのに、最近は開発した製品はほとんど売れない。どうすればよいか悩んでいる企画担当者や開発設計者が多いのではないでしょうか?
最近は、ユーザーも本当に欲しい商品がわかっていないときがあり、製品を売る側は大変困ります。ユーザーも本当に欲しい商品に近づけるために色々なお願いをしてきます。
この記事では、「お客様の声」に頼らず自分たちでお客様が本当に欲しい商品を開発する手法を解説します。この記事を参考にすれば、売れる商品のための企画をつくることができます。
売れる商品とはユーザーの行動に隠れています。売れる商品をつくるには、ユーザーの行動を見える化し、仮想空間でユーザーに体験させる必要があります。
この記事を作成するにあたり、参考にした書籍・講座を紹介させていただきます。
大元記事!構造設計の全体像が確認できるよ!
UXとは潜在ニーズを掘り起こす手段!
UXは今注目のデザイン手法です。例えば次の製品はまさにUXにちなんだ製品です。
- 小さなコンピュータであり、手軽に世界と継がれるアップルが開発したiphone。
- 孫においしいパンを食べさせたいと思ったおばあちゃんが購入するバルミューダ製トースター。
- 家でも外出先でもみんなで遊ぶことができる任天堂が開発したSwitch。
どれもみなさんが耳にしているヒット商品です。そしてこれらはUXの手法を用いて開発したと言われています。まずはUXの手法を解説する前に、UXの定義とその周辺の用語を解説していきます。
UXの定義
UXの定義をまとめると下記のとおりです。
- 正式名称
- User Experience
- 意味
- ユーザーがうれしいとかんじる体験となるように製品を企画段階から理想のユーザー体験を目標にしてデザインしていく取組と方法論のこと。
- 国際規格
- ISO9241-210
製品、システムを使用した、および(または)、その利用を予想した際に生じる人々の近くと反応のこと。 - よく似た言葉①
- UI(User Interface)があり、こちらはユーザーがシステムに入力する手段やデザインを意味し、UXに含まれる。
- よく似た言葉②
- デライトという言葉があり、こちらはユーザーがその商品を買って楽しんだり、喜んだりすること。こちらもUXの一部である。
感性工学を数値化してく設計法がある。
UXは、ユーザーのアウトプットとの関わりで生じるユーザーの変化を見逃すことなく、デザインすることを意味しています。
UXで良く使う用語
UX、UI、デライト以外によく使う用語は次のとおりです。
- ニーズ(needs)
- ユーザーの需要、欲求。顕在ニーズや潜在ニーズと呼ばれたりする。
顕在ニーズとは、需要、欲求がわかっている状態。
潜在ニーズとは、ユーザー自身が自覚していないが、あればほしいと思っている状態。 - ウォンツ(wants)
- ニーズより具体的でユーザーが望むものを欲しいと思っている状態。
- シーズ(seeds)
- 自社の技術・ノウハウを元に商品を展開していくこと。
UXデザインに関わらず、これから製品を開発していく場合よく耳にするワードなので、理解しておいて損はありません。
売れる製品を企画・開発する手法3選
製品の中にユーザーのうれしいと感じる要素を具体的な形に落とし込む方法を解説していきます。
ユーザー行動(体験)と製品の機能化の明確化
ユーザー体験をみつけることはかなり大変です。なのでまずは製品を機能化します。すでに製品はあると思いますので、機能化はすぐに行動に移せます。
製品の機能化とは、次のように定義できます。
製品を構成している各部品の役割を明確化させること。
製品を機能化させるメリットは次のとおりです。
- 問題・課題を単純化しやすくなる。
- 部材の存在理由が明確化される。
- 多面的・網羅的に検討できる。
では、製品を機能化させるにはどのようにすればよいでしょうか?
答えはかんたんです。英語の「S(主語)+V(動詞)+O(目的語)」にわけてやることです。例えばポットについて考えてみます。(出展:製造業のUX)
2通りの主語が思いつきます。
1つ目はユーザーが主語です。
もう一つは英語特有の受動態を考えればわかります。2つ目がポットを主語にしてやる方法です。
ユーザーを主語にした場合、ポットに水を入れる動作を考えた場合、次のような形になります。
- ユーザー(S)は、ポットのフタ(O)を開けます(V)。
- ユーザー(S)は、ポットの本体に水(O)を入れます(V)。
ユーザーとした場合、時系列的に機能化することができます。時系列で製品1つ1つの部品の使われ方がわかれば、どのようにユーザーに使ってもらえばもっと使いやすくなるか、わかりやすくなります。
ユーザーを主語にして時系列的に製品を機能化させることで、ユーザーにポットの取扱の体験をさせながら、製品一つ一つの存在も把握できるんだね!
次にポットを主語にした場合は次のようになります。
- フタ(S)は、本体(O)を密閉する(V)。
- 本体(S)は、水(O)を貯える(V)。
部品同士の関係性、つまり役割が明確になります。製品に関わる1つ1つの部品には役割があるので製品に取付けられているはずです。なので、その役割を明確化できるはずです。
たくさんある部品の中で役割を与えられない部品があるとすれば、その部品は不要ということになるね!
あとは、別の役割を与えることでもっと良い製品になるかもね!
この機能を具体化する最も簡単な方法は3Dプリンタです。早く試作が作れて、デザインを確認することができます。
製品を機能化することで、ユーザーに行動をさせながら製品のそれぞれの部材の存在意義を見える化させることができます。
仮想ユーザーを実際に行動させて日々の使い方を見える化する
機能化した後は、その製品のターゲットとなる仮想ユーザーを作成します。ペルソナと呼ばれたりします。
ペルソナをつくる理由としては、機能化で抽出した製品に対してユーザーの行動と操作に着目したいからだよ!
ペルソナを作るために考えることは次のとおりです。
- 顔
- 名前
- 性別
- 職業
- 年齢
- 改善したい内容(性格に置き換えてもよい)
このように本物のヒトのようにつくることで、そのユーザーを行動させるときにより具体的に行動させやすくなります。愛着がわく!と置き換えてもよいかもしれません。
ただし、注意が必要です。ペルソナを作る場合は、次の点に注意してください。
- ペルソナを作る場合は、1人で作らず複数人で作る。
- 色々な意見を取り入れて、パターン化させる。
- パターン設定は1~2人にまとめること。人数が多いと行動に着目した場合に傾向がつかめなくなる。
実際に行動させるときは日記のようなストーリーをつくります。
パターン化したペルソナに旅をさせるつもりくらいで日常操作をやらせることで、製品の体験がイメージしやすくなります。
製品に盛り込みたい行動の優先度を決定する
ペルソナを使って製品の操作、つまり行動させると複数の結果が返ってきます。
例えばポットの場合だと、次のような意見が返ってくるかもしれません。
- 片手で操作できるようにフタをもっと簡単に開けたい。
- 水を入れるのは問題はないが、ポットを洗うのに本体の間口をもっと大きくしてほしい。
- 水を沸騰させたあと、通知する機能が欲しい。
このように行動に着目することで、ペルソナから色々な感情が返ってきます。このような感情の中から本当に必要な行動に優先順位をつけていきます。
行動の優先順が、結局他社製品との差別化ポイントになるね!
この優先度を決めた後、目標スペックに落とし込んでいきます。このスペックをもとに基本設計を行い、最終的にユーザー検証を行います。
ここで使うのが、「お客様の声」です。今までためていたお客様の声と照らし合わせて、今回の製品で本当に満足させられるかを見極めていきます。
必要であれば、さらに「アンケート調査」や「ヒアリング調査」を追加していきます。
お客様の声を使うポイント
開発初期段階でお客様の声を使うのではない。企画書などが出来上がった後にこれから開発される製品がお客様の声を解決できているかどうかを検証するために使べきである。
最後に:UX手法を取り入れて商品ではなく体験を売ろう!
UXはこれから商品を提供していくうえで重要な考え方になります。UXをうまく取り入れられるかどうかで決まります。
ユーザーの声だけでは、今の世の中売れる商品を提供できません。ユーザーの声では広い切れない仕様をUXの手法をうまく取り入れて、ヒット商品を生み出していきましょう!
これからの時代は声ではなく体験が重要になってくるんだね!
UX手法は一朝一夕では手にいれるのは難しいですので、日ごろから考える習慣が大切です。何気なく行動している中にも少しの変化を加えるだけで驚きの体験をさせてくれる場合があります。この記事以外にもUXに関する資料はたくさんあります。特に参考文献についてはわかりやすくてオススメです。
参考文献
今回、記事に参考にした文献を再度のせておきます。本を読むのが苦手なヒトはオンライン講座からはじめてもらっても良いかもしれません。
1.製造業のUX
ITやWebから応用した製造業向けのUX手法がのっている書籍です。例が具体的で大変わかりやすいです。
2.UXリサーチの道具箱
UXの概論というよりは、UXにちなんだ調査や分析手法を7つ道具として解説されている書籍。UXの概論が終わり本格的にUXデザインに取り組みたいヒトが最初に行き着く調査・分析をていねいに解説しています。
3.よくわかる デライト設計入門-ワクワクするような製品は天才がいなくとも作れる
楽しみ・喜ぶの意味をもつデライト。そのデライトを取り入れるための商品開発手法がのっています。どちらが「音うるさい?」や「光がまぶしい?」など人間の感情を数値化して商品開発をしていく手法が解説されています。
4.UXデザイン超概論
UXとは何か?が学べるオンライン講義です。難しい用語をできる限り排除してUXデザインについて細かく解説されています。超初心者にオススメです。
世に出すからには使って欲しい!ターゲットに愛されるサービスを作るための必須スキルを獲得しよう